ミシュラン
46%持続可能材料使用タイヤ発表
海上輸送の脱炭素化技術と同時に
日本ミシュランタイヤ(須藤元社長)は、6月1~4日にかけて開催されたイノベーションの祭典「オンライン グローバル サステナブル・モビリティ サミット〝2021ムービング・オン〟」において、ミシュラン(フローラン・メネゴーCEO)が、次世代帆船プロジェクト「WISAMO(ウィンド・セイル・モビリティ、以下、ウィザモ)」ならびに「46%持続可能な原材料を使用した高性能レーシングタイヤ」を発表したことを明らかにした。
ウィザモは、船舶に自動伸縮式の帆を取り付けるシステムで、燃料消費を最大20%向上させ、CO2排出量を削減、海上輸送の脱炭素化を促進する。ミシュランおよびスイスの発案者が共同開発したもので、商船・プレジャーボートいずれにも搭載が可能。貨物船やタンカーに最適で、造船時の装着だけでなく、後から改造することもできる。あらゆる海上輸送ルートで使用でき、入港時や橋の下を通過する際には、伸縮式の帆を格納することができる。
「ウィザモプロジェクト」は、世界的に有名なヨットレーサーであり、同プロジェクトのアンバサダーも務めるミシェル・デジュワイオ氏と協働したもので、高い成果を見込んでいる。熟練した船乗りであるデジュワイオ氏の情報と技術的知識によって、実際の海上輸送条件下での試験が可能となった。デジュワイオ氏は「風力推進の利点は、疑いようがなく、風力エネルギーはクリーンでノーコスト、商船の環境負荷低減のための非常に有望な手段となる」と述べている。
ウィザモの商船への初搭載は2022年で、試験段階完了後、生産を開始する予定。
ミシュランは人・地球・利益の三方よしを実現し、〝タイヤと共に〟〝タイヤ関連で〟〝タイヤを超越して〟事業を拡大。ウィザモプロジェクトについても、サプライチェーンの環境負荷を低減する新事業開発の一環として行われ、ミシュランはウィザモプロジェクトを通して、将来的な規制に先駆け、より環境にやさしい海上輸送の実現に貢献していく。
46%持続可能な原材料を使用した高性能レーシングタイヤについては、ミシュランでは、天然ゴムの比率を高め、廃タイヤから回収したリサイクルカーボンブラック、オレンジやレモンの皮、ひまわり油、松やに、アルミ缶からリサイクルしたスチールなどを使用することで、持続可能な原材料比率を大幅に高めることに成功した。このタイヤは、24時間耐久レースに追加予定の水素燃料電池プロトタイプカー部門向けに開発されている。
モータースポーツは、観客に興奮や夢を与える文化的側面だけでなく、究極の使用条件で新しいハイテクソリューションを試す、実世界の技術研究所としての役割も発揮。これまでは、優れたオントラック性能と持続可能材料の両立は不可能という結論が定説であった。しかしながらミシュランは「タイヤ性能を損なうことなく、持続可能な原材料をこれまで以上に製品に組み込むことは可能であると証明する」という信念の下、今後もチャレンジを続けていく。
ミシュランは今年、50年までにタイヤを100%持続可能にする構想を発表。最初のマイルストーンとして、持続可能な原材料の割合を30年までに40%に増加させることがミシュラングループの目標で、持続可能な原材料を増加させる取り組みに加え、原材料の調達、生産、道路での使用、リサイクルに至るまで、タイヤのライフサイクルすべての段階で環境への負荷を軽減する取り組みを進めている。