クラレ
2021年12月期決算を発表
売上高 過去最高の6294億円達成
クラレ(川原仁社長)は2月9日、オンラインで決算説明会を行った。それによると当期の売上高は前期比16・2%増の6293億7000万円、営業利益は同63・0%増の722億5600万円、経常利益は同73・0%増の687億6500万円、当期純利益は同1349・5%増の372億6200万円となった。冒頭、川原社長は「新型コロナワクチン接種の進展による行動制限緩和に伴い経済活動が活性化し、世界各地域で景気の回復傾向が続いた。当社のほとんどの事業分野で需要の回復を着実に取り込んだ結果、大幅な増収増益となり売上高は過去最高となった」と述べた。営業利益における増減分析は原燃料の高騰や為替の影響によって367億円、その他要因で63億円の利益圧迫があったが、数量差で507億円、売値・構成による202億円の利益増により大幅な増益となった。また、18年5月に米国子会社で発生した火災事故などに関する訴訟関連損失として42億9600万円、昨年2月に米国南部を襲った寒波の影響による米国子会社の一部設備の生産停止による災害損失として32億8400万円を特別損失に計上している。
セグメント別では、ビニルアセテートの売上高は前期比18・5%増の3046億9000万円、営業利益は同41・6%増の577億2600万円。原燃料の高騰や為替の影響によって282億円、その他要因で32億円の利益圧迫があったものの、数量差で343億円、売値・構成による141億円の増益分が賄った。ポバール樹脂は世界的に需要回復が進み、幅広い用途で販売量が増加。光学用ポバールフィルムは、前年後半から続くおう盛な液晶パネル需要を背景に好調に推移した。PVBフィルムは、第3四半期以降は半導体不足による自動車減産の影響を受けたが、前期比で販売量が増加。水溶性ポバールフィルムは、洗濯用および食洗機用個包装洗剤向けの販売が順調に拡大した。EVOH樹脂「エバール」は、ガソリンタンク用途の需要回復や食品用途の好調な需要継続により、前期比で販売量が増加。一方で年初から続く原燃料高と、第3四半期以降は自動車減産の影響を受けた。
イソプレンの売上高は同22・9%増の619億4000万円、営業利益は同49・5%増の56億9400万円。原燃料の高騰や為替の影響で48億円、その他要因で9億円の利益圧迫があったが、数量差で55億円、売値・構成による21億円の増益分が賄った。イソプレン関連はファインケミカル、熱可塑性エラストマー「セプトン」ともに、需要の回復により販売量が増加。耐熱性ポリアミド樹脂「ジェネスタ」は、原燃料・物流費上昇の影響を受けたものの、おう盛な需要を背景に電気・電子デバイス向け、自動車向けともに販売が順調に拡大した。
機能材料の売上高は同11・3%増の1390億7800万円、営業利益は同173・4%増の81億8900万円。原燃料の高騰や為替の影響によって23億円、その他要因で10億円の利益圧迫があったものの、数量差で50億円、売値・構成による34億円の増益があり利益を大きく伸ばした。メタクリルは好市況に加え、飛まつ飛散防止用仕切板やディスプレイ向けなどの販売が堅調に推移。メディカルは、欧米を中心に歯科材料の新製品に対する需要がおう盛で販売が拡大した。環境ソリューションは欧米の水処理用途を中心に需要が拡大、活性炭の販売は堅調に推移した。
繊維の売上高は同12・3%増の610億8200万円、営業利益は同146・1%増の53億200万円。原燃料の高騰や為替の影響によって14億円、その他要因で10億円の利益圧迫があったものの、数量差で49億円、売値・構成による6億円の増益があり利益を伸ばした。人工皮革「クラリーノ」は、シューズ用途を中心に販売が堅調に推移。繊維資材は「ビニロン」「ベクトラン」ともに需要が拡大し、販売量が増加した。生活資材は「クラフレックス」で外食産業の需要が伸び悩んだ。
トレーディングにおける売上高は同15・7%増の1440億2700万円、営業利益は同34・6%増の48億5200万円。繊維関連事業は、スポーツ衣料やクラリーノが好調に推移。樹脂・化成品関連事業は中国市場を中心とした需要増に伴い、販売が拡大した。
その他事業は国内関連会社の販売が回復し、売上高は同14・2%増の476億1500万円、営業利益は同324・0%増の9億800万円。
今期については売上高6500億円、営業利益730億円、経常利益690億円、当期純利益430億円を見込んでいる。