2022年3月期第3四半期決算説明会
日本ゼオン
売上高は過去最高に
半期ベースでは営業利益も
日本ゼオン(田中公章社長)は1月31日、ウェビナーを使用したライブ配信によって「決算説明会」を開催した。当期決算の売上高は前年同期比24・2%増の2687億5600万円、営業利益は同72・8%増の364億500万円、経常利益は同70・7%増の391億2700万円、四半期純利益は同56・9%増の273億6400万円となり、四半期ベースにおける売上高は過去最高、半期ベースでは売上高、営業利益ともに過去最高となった。
セグメント別では、エラストマー素材事業部門の売上高は同29・3%増の1479億2600万円、営業利益は同199・6%増の159億3000万円。営業利益における増減要因は、原料価格の影響などに由来する原価差で184億円、海上運賃上昇などに伴う販管差によって56億円の減益環境に見舞われたものの、出荷量増による数量差で46億円、販売価格改定などによって270億円の増益要因があったことで、大幅な増収増益となった。当四半期(2021年9―12月)における合成ゴム関連の売上高は、同39%増の325億円と大幅増。自動車減産の状況下でも需要は依然として堅調に推移し、国内・輸出・海外子会社とも販売は好調に推移した。ラテックス関連の売上高は同20%増の55億円。医療・衛生用手袋向けの需要拡大に加え、樹脂改質用途が堅調に推移したことにより、前年同期を上回った。化成品関連の売上高は同20%増の103億円。需要は堅調に推移したものの、水島工場およびタイ子会社の定期検査による出荷調整に加え、コンテナ不足や船繰り難などの影響により、販売数量は前年同期を下回った。一方で、原料価格上昇分および物流費高騰分の一部を価格に転嫁したことで、売上高、営業利益ともに前年同期比増となった。
高機能材料事業部門の売上高は同14・4%増の803億1400万円、営業利益は同24・9%増の203億9600万円。営業利益における増減要因は、価格差で10億円、販管費増によって6億円の減益要因があったものの、光学樹脂、電池材料などの出荷量による数量差で31億円、生産増に伴う製造固定費削減、原価低減効果などによって18億円、為替差益の8億円の増益分が利益増に貢献した。当四半期単体の高機能樹脂関連の売上高は、同3%増の159億円。半導体不足の影響によりスマートフォンやタブレット向けの出荷が伸び悩んだが、大型テレビ、医療用途向けの需要は底堅く、光学樹脂、光学フィルムともに販売は堅調に推移し、営業利益も前年同期を上回った。出荷量ベースでは、光学用途向けで同20%増、医療その他向けが同2%増で当期累計では8%増。「医療その他向けの需要は堅調さが続いており、第4四半期に向けて一層の出荷増を見込んでいる」(同社取締役執行役員・松浦一慶管理本部長)。当四半期の高機能ケミカル関連の売上高は、同31%増の90億円。出荷量ベースでの電池材料は同47%増。EV向けについては、中国・欧米向けともに需要は堅調に推移しており、同79%増。民生他向けは、家電およびモバイル端末向けにおいて、半導体不足の影響による一服感があり、産業用途(ESS)は流通在庫調整などによる影響を受けたが、需要は堅調に推移している。結果として、半導体不足による調整、輸出コンテナ不足などの影響を一部受けたものの、総じて需要は堅調に推移しており、電池材料、化学品、トナー、電子材料のすべてにおいて売上高、営業利益ともに前年同期の実績を上回った。
その他の事業部門全体の売上高は同29・5%増の428億5700万円、営業利益は同76・5%増の19億3100万円。子会社の商事部門等の売上高が前年同期を上回った。
通期については、最近の業績の動向等を踏まえ、昨年7月30日に公表した連結業績予想および昨年4月28日に公表した配当予想を修正する。エラストマー素材事業部門と高機能材料事業部門に関連する需要が全体的に堅調であり、全社でコスト低減に取り組んだ結果、前回公表予想値を上回る見込みであることから売上高を前期比20・2%増の3630億円(当初予想値3330億円)、営業利益を同36・2%増の455億円(同420億円)、経常利益を同26・7%増の490億円(同445億円)、当期純利益で同20・9%増の335億円(同315億円)へと見直した。配当予想については、期末配当金の予想を1株当たり3円増配し15円に修正、年間配当金は前期実績から6円増配となる、1株当たり28円を予定している。